No.046

汚泥処理とは? 汚泥、薬品、脱水機の種類

排水 汚泥処理

汚泥の種類について、また汚泥処理がどのように行われているかを解説します。


解説

「汚泥」は、廃棄物処理法で廃棄物の一つとして定義されています。この汚泥は規定に従って正しく処理することが求められます。

排水処理にはいろいろな方法があり、汚濁物質を除去する過程で多くの場合、汚泥が発生します
汚泥にはいくつかの種類と性状があり、適切に処理するための装置や薬品、処理方法が必要になります。
これらが機能しないと水処理設備内に汚泥が蓄積し、ついには処理水に流出して、排水基準値を超えた排水となってしまいます。
汚泥処理は、水処理を行う上で重要な役割を果たしているのです

汚泥の種類

汚泥は、大別すると無機汚泥有機汚泥に分けられます。無機汚泥は、無機質で汚染された排水から発生する汚泥で、種類は多岐にわたります。
たとえば重金属水酸化物の代表例としてメッキ排水の汚泥がありますが、この場合メッキする金属によってCr、Ni、Cu、Znなど、様々な金属水酸化物が生成しています。
いっぽう有機汚泥は、有機物で汚染された排水を活性汚泥法などの生物処理を行うときに発生する汚泥で、代表的なものが下水処理汚泥です。

 

■汚泥の種類と性状

区分 汚泥の性状 対象排水

無機汚泥

石灰、石膏、石炭など 鉱石の洗浄排水、集塵排水など
酸化金属粉末 鉄鋼排水、集塵排水など
重金属水酸化物(Fe,Al,Cr,Ni,Cu,など) 酸排水、メッキ排水など
含油凝集汚泥 機械工場排水、冷延排水(切削油、圧延油、潤滑油など)
凝集汚泥(硫酸バンド、PAC、銀塩など) 懸濁水処理(浄水、工水)

有機汚泥

生活排水の活性汚泥 CP、下水、し尿
食品工場の活性汚泥 食品排水
有機化学物質の活性汚泥 有機化学プロセス排水、石油化学プロセス排水

汚泥内の水の状態

通常、汚泥処理では脱水機を使用して水分を減らし搬送可能なケーキ状にしますが、もともとの汚泥の中で水は次のどれかの形態で存在しています。
これらのうち最も水分が多いのは自由水で分離も容易です。汚泥内の水の状態を的確に把握することで、様々な脱水機を使い分ける必要が生じてきます。

 

(1)結合水 (2)表面付着水 (3)内部水 (4)自由水
汚泥粒子の割れ目や粒子間のすき間に存在する水分 汚泥粒子の表面に吸着している水分 フロック状汚泥の内部や結晶内部で結合している水分 汚泥粒子の流動性を保つために汚泥の周囲に存在する水分
結合水汚泥と水が結合している 表面付着水汚泥の表面に水が付着 内部水汚泥の中に水が入り込んでいる 自由水汚泥と結合せず単体で存在

(参考)

基礎学習動画:汚泥含水率脱水処理

脱水機の種類

汚泥を脱水処理する際には、ほとんどの場合前処理を行うことが必要です。
この前処理とは、脱水機の機種に応じて汚泥に含まれている水を分離しやすい状態にすることで、調質と濃縮に分けられます。
前処理の済んだ汚泥の脱水には、ろ過式と遠心分離式の脱水機が用いられます。

 

項目 真空脱水機 遠心脱水機 加圧ろ過機 ベルトプレス
ろ過機
脱水原理 真空による脱水 遠心力により固液分離 圧入ろ過、ダイヤフラム圧搾による脱水 重量脱水、ロールによる圧搾、せん断脱水
イメージ 真空脱水機 遠心脱水機 フィルタープレス ベルトプレス
詳細ページ 真空脱水機のしくみと利用法 遠心力を利用して分離する遠心脱水機 汚泥をろ過室で加圧するフィルタープレス ベルトプレスとスクリュープレスのしくみ

(参考)

水処理教室:汚泥の種類による汚泥脱水機の使い分け

汚泥処理で使用する装置や薬品の例

実際どのような装置や薬品があるのか、クリタが提供している製品をご紹介します。

 

汚泥処理で使用する装置の例
汚泥処理で使用する薬品の例

 

(参考)

相談事例:

汚泥・二酸化炭素排出量を減らしたい

用語解説

ケーキ

搬送や乾燥・焼却処分などが容易なように水分を減少させた汚泥のことをいいます。

CHECK POINT!

  • 排水処理で発生した汚泥は水分を多量に含んで体積が大きくなるため、 脱水して処理することで汚泥の減量、減容につながります。
  • 汚泥の中の水は、結合水、表面付着水、内部水、自由水のどれかの形で存在しています。
KCRセンター坂倉徹

解説者

栗田工業株式会社

坂倉徹

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