No.053

真空脱水機のしくみと利用法

排水 汚泥処理

「真空脱水機」についてお話いたします。真空脱水機は、ドラム内部を真空ポンプで負圧にして脱水する装置です。けい藻土や炭酸カルシウム、石膏、その他鉄鋼スラッジなどの脱水しやすい汚泥を薬品注入なしで脱水することができます。その装置のしくみと利用法について解説いたします。


KCRセンター若田政己

解説者

栗田工業株式会社

若田政己

解説

真空脱水機には、ろ布固定式とろ布走行式があり、回転ドラムの外周をろ布で覆い、ドラム内部を真空ポンプで負圧にします。この状態でドラム表面積の約30%程度を液に浸漬すると、ケーキ層がろ布表面に付着します。そしてケーキ層が形成される速度にあわせてドラムを回転させると、ケーキ層は空気中で脱水されます。真空脱水は、けい藻土や炭酸カルシウム、石膏、その他鉄鋼スラッジなどの脱水しやすい汚泥を薬品注入による調質なしで行う場合に効果的です。

ろ布式で困難な汚泥は連続式真空プレコートろ過機を使用

汚泥は、真空脱水機の汚泥槽に供給され、槽内の攪拌機で攪拌されながらフィルタードラム内の負圧によってろ布面に付着し、水はろ布を通過して分離・排出されます。ろ布に付着した汚泥は、脱水区間で脱水されてケーキ状となり、ケーキを付着させたままの状態でろ布はドラムから離れます。そして剥離ロールによってケーキがろ布から剥がされ、ろ布は再びドラム表面に巻かれます。また汚泥が、ノリ状やゴム質、コロイド質、あるいは希薄スラリーのように、ろ布式真空脱水機では脱水が困難な場合、連続式真空プレコートろ過機(脱水機)が使用されます。この脱水機は、まず内筒面に厚さ50~75mmのろ過助剤層を作り、その上にろ過ケーキを形成させて真空脱水を行います。掻き取りは、掻取ナイフを除々に前進させて、ケーキとともに助剤層を1回転で0.015~0.15mmずつ削り取って行います。ろ過速度が大きく、完全な固液分離が行えるのが特徴です。ちなみにプレコート(ろ過助剤を付着させる)に要する時間は1時間以内で、ろ過継続時間はろ過助剤層を削る速度によって変化します。

真空脱水機のしくみ

用語解説

ろ過助剤層・ろ過ケーキ

脱水しやすい珪藻土などをろ過助剤として使用する場合において、これを真空脱水機のろ布の表面に厚くつけて脱水し、ケーキ状とした状態のもの。

CHECK POINT!

  • 真空脱水機は、ドラム内部を真空ポンプで負圧にします。
  • 汚泥を薬品注入なしで脱水できます。

出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)

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