汚泥をろ過室で加圧するフィルタープレス
排水 汚泥処理「フィルタープレス」についてお話いたします。フィルタープレスは、汚泥をろ過室に詰め込み加圧して脱水する装置で、脱水したケーキの含水率は低くなります。フィルタープレスには汚泥を加圧して送り続けて脱水するタイプと、ろ過室内のダイヤフラムが膨らんで脱水するタイプがあります。そのしくみについて解説いたします。
解説
フィルタープレスは、汚泥を限られた空間に加圧して詰め込むことで脱水する機械で、得られるケーキの含水率は比較的低くなります。フィルタープレスの本体内には、ろ布を張った2枚の鋼板またはプラスチックの板で仕切られたろ過室がいくつか並んでいます。このろ過室の配列方法によって、横型と縦型のものがあり、ろ過の方法も片面ろ過と両面ろ過とがありますが、どのタイプもろ板全体を油圧で締め付けた状態で、各ろ過室に給泥管を通して、水を含んだ汚泥をポンプで圧入します。そして全ろ過室に汚泥が充満した後も、さらに加圧して汚泥を詰め続けることによって、汚泥中の水分がろ過されて脱水が行われます。つまり汚泥を強い力で押し込んで圧力を加えることで搾るように水を除去するのです。そして脱水が終わると、ろ板を締め付けていた油圧が解除され、ろ過室が開いて汚泥が下に落ちるしくみになっています。
ダイヤフラムで加圧するタイプもある
フィルタープレスには、汚泥を加圧して送り続けることでろ過するタイプと、ろ過室内にダイヤフラムを有した圧搾タイプがあります。このプレス機では、ろ過室が汚泥で満たされた後、さらに汚泥を押し込むのではなく、ダイヤフラム内に高圧の空気や水、油などを圧入して膨らませることで、汚泥の両側から圧搾力を加えて脱水します。ろ液は、ろ板内の溝を通って下部から機外に排出されます。ダイヤフラムは丈夫なゴムなどでできていて、かなり高圧で空気や水を圧入しても破損するようなことはありません。ろ過が完了した後は、圧搾空気を各ろ室に吹き込むことで、ろ布に付着したケーキを離れやすくします。そしてろ板を開くと、ろ布から剥離したケーキは自重で落下して、搬出されます。
用語解説
ダイヤフラム
隔膜、仕切り板のこと。
CHECK POINT!
- フィルタープレスは、汚泥をろ過室内で加圧して脱水します。
- ダイヤフラムを利用して空気圧で脱水するタイプもあります。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
若田政己