No.061

難分解性シアン錯塩の凝集処理

排水 凝集分離

「ウェルクリン C‐200」を使用したシアンの処理方法についてお話いたします。シアン(CN)を含む排水は、メッキ工程から排出される排水と、鉄鋼工場のコークス製造排水に代表される炉内の化学反応で合成される排水の2種類に大別されます。前者はシアン化ナトリウム及び、鉄・亜鉛・ニッケル・銅・金・銀などの金属シアノ錯体が含まれ、後者は有機物や反応中間体を含みます。これら、幅広いシアン化合物を処理することが可能な「ウェルクリン C‐200」を使用したシアンの処理方法について解説いたします。


KCRセンター池上徹

解説者

栗田工業株式会社

池上徹

解説

シアンの処理方法としては、一般的にアルカリ塩素法などの酸化分解法と、鉄塩を用いた紺青法(難溶性錯化合物沈殿法)が挙げられます。水処理教室№36で紹介したアルカリ塩素法は、シアン化ナトリウムなどのアルカリ金属塩と、金属シアノ錯体のうち、亜鉛・ニッケル・銅・銀シアノ錯体を処理することができますが、鉄、コバルト、金シアノ錯体を処理することが難しいという課題があります。一方、紺青法は、アルカリ塩素法では処理が難しい鉄・コバルトシアノ錯体などを鉄塩(FeSO4など)を添加して難溶解性塩を生成させた後、凝集沈殿処理で除去する処理方法です。しかし、この処理方法では、添加する鉄塩が不足するとFe[Fe(CN)6](可溶性塩)ができ、凝集沈殿後の処理水に着色が残ってしまうなど、処理が不完全になります。また、水のpHが高くなると、水酸化鉄と鉄シアノ錯体が分解してしまうため、pHを適正に保つ必要があります。

「ウェルクリンC‐200」は幅広いシアン化合物に対応

「ウェルクリンC‐200」を使用したシアンの処理方法は、還元銅塩法を利用した方法で、還元剤が存在する条件下に、銅塩と特別な塩(X)を配合した薬剤である「ウェルクリンC‐200」を添加して、各種シアンの難溶性塩を形成させることでシアンを除去します。この処理法は従来のアルカリ塩素法に比べて遊離シアン、各種錯シアンなど幅広いシアン化合物を処理することが可能で、紺青法に比べて運転管理が容易というメリットがあります。

シアン処理の適用例

用語解説

難溶解性塩

水に溶けにくい化合物。金属類の処理では、高アルカリ条件にすることで、水酸化物のような水に溶けにくい化合物を生成させて沈降分離する。

CHECK POINT!

  • アルカリ塩素法や紺青法に比較して、「ウェルクリンC‐200」は幅広いシアン化合物を処理することができます。

出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)

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