No.078

土壌汚染のリスク

土壌浄化

もし自分の居住地や職場の敷地内に土壌汚染があったら、健康にどう影響するのか不安になりますよね。しかし土壌汚染が判明しても適切な管理がなされていれば、すぐに私たちの健康に悪い影響が生じるわけではありません。そのため、土壌汚染対策法では摂取経路の遮断または汚染土壌の除去により、健康被害防止のための措置がとられることが定められています。


解説者

ランドソリューション株式会社

泉 友紀

解説

土壌汚染から国民の健康を守るために2003年に土壌汚染対策法が施行されました。土壌汚染対策法では土壌汚染による健康リスクを①地下水等経由の摂取リスクと、②直接摂取リスクの2つに分けています。
土壌汚染は、土壌に汚染が存在すること自体が問題となるのではなく、土壌に含まれる有害物質が私たちの体の中に入ってしまう経路(摂取経路)が存在していることが問題となります。この経路を遮断するような対策を取れば、有害物質が私たちの体の中に入ってくることはなく、土壌汚染による健康リスクをなくすことができます。

①地下水等経由の摂取リスクと②直接摂取リスク

(1)土壌から溶け出した有害物質を含む地下水等を飲んだ時のリスク(地下水等経由の摂取リスク)

土壌溶出量基準は、おおよそ一生涯(70年間)1日に2リットルの地下水等を飲み続けても、健康に影響を及ぼさないように定められた有害物質の濃度に関する基準です。また、幼児期の毒性を考慮したり、急性毒性の視点からも問題がないように設定されています。

土壌溶出量基準の例

(2)土壌に含まれる有害物質を口や肌などから直接摂取した時のリスク(直接摂取リスク)

土壌含有量基準は、土壌汚染が存在する土地に人が70年間居住し、1日に100 mg(子ども:6歳以下は1日200 mg)の土壌を摂取し続けても、健康に影響を及ぼさないよう定められた有害物質の濃度に関する基準です。また、急性毒性の視点からも問題がないように設定されています。

 

【参考資料】

■環境省.「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」パンフレット『土壌汚染対策法のしくみ』全体版より. https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html , (参照 2023-08-01)

■公益財団法人日本環境協会.「普及・啓発業務」冊子・説明資料『事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン』”基本編第1章 土壌汚染とは”より. http://www.jeas.or.jp/dojo/business/promote/booklet/05.html , (参照 2023-08-01)

用語解説

有害物質(特定有害物質)

トリクロロエチレン、ベンゼン、鉛、六価クロム、ふっ素、PCBなど、⼟壌汚染対策法施⾏令で定められた26物質を特定有害物質といいます。

CHECK POINT!

  • 土壌汚染のリスクとなる有害物質が人の体内に入る経路は大きく2つに分けられます。
  • 摂取経路を遮断する対策と適切な管理ができれば、土壌汚染による健康リスクをなくすことができます。

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    土壌汚染対策法の目的は、土壌汚染による人の健康被害を防止することです。

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