土壌汚染対策法の制定
土壌浄化日本では1967年に公害対策基本法が制定されて以降、大気汚染や水質汚濁などの環境の法律が整備されました。そのなかで工場から発生する土壌汚染・地下水汚染問題が顕在化し、2002年に土壌汚染対策法が公布されました。
土壌汚染対策法の目的は、土壌汚染による人の健康被害を防止することです。
解説
土壌が有害物質により汚染されると、人の健康に影響を及ぼすおそれがあります。そのため土壌汚染を防止することや浄化対策をすることが、有害物質を取り扱う事業所や工場に求められます。「土壌汚染対策法」が制定されることで、土壌の特定有害物質※1による汚染状況を把握し、公の機関に報告をし、人の健康被害を防止する対策が取られるようになりました。
※1:トリクロロエチレン、ベンゼン、鉛、六価クロム、ふっ素、PCBなど、土壌汚染対策法施行令で定められた26物質を特定有害物質といいます
土壌汚染対策法
章 | 項目(要約) | 主な内容(要約) |
第一章 | ①目的 | 国民の健康を保護する |
第二章 | ②土壌汚染状況調査 | 特定有害物質の使用が見つかった敷地の調査、健康被害のおそれがある土地に対して調査を都道府県知事に報告する義務がある |
第三章 | ③指定区域の指定・台帳の調整 | 都道府県知事は汚染があれば指定区域として閲覧できるようにする |
第四章 | ④土壌汚染による健康被害の防止措置 | 都道府県知事は汚染土壌の適切な措置を命じる |
第五章 | ⑤指定調査機関 | 環境大臣は調査事業者を指定調査機関として指定する |
第六章 | ⑥指定支援法人 | 土壌汚染対策に対して支援・助言を行う指定支援法人に関し基金などの事項を定める |
第七章 | ⑦その他 | 雑則や罰則 |
近年における法律の改正
土壌汚染対策法は2002年に制定されて以降、最近では2017年に改正法が公布されています。改正の理由の一つに、工場が操業を継続しているため土壌調査を実施していない(猶予されている)土地で、土地の再開発を行う場合に、汚染の拡散が起きてしまう可能性が問題視されることなどがありました。改正の概要は以下の通りです。
①土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大
②汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設等
③リスクに応じた規制の合理化
土壌汚染対策法は大きく3つのステップで構成されています
ステップ1 土地所有者等が土壌汚染の状況を調査し、結果を都道府県知事又は政令市長に報告します。
ステップ2 指定基準を超えた土壌汚染がある場合は、都道府県知事又は政令市長が指定区域に指定し公示されます。
ステップ3 土地所有者等は土壌汚染に必要な措置や管理をします。
【参考資料】
■環境省.「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」パンフレット『土壌汚染対策法のしくみ』”分割版 土壌汚染対策法 全文”より. https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html , (参照 2023-08-01)
■公益財団法人日本環境協会.「土壌汚染対策法」”概要”より. http://www.jeas.or.jp/dojo/law/ , (参照 2023-08-01)
用語解説
区域の指定
土壌汚染対策法では、要措置区域と形質変更時要届出区域という指定区域があります。形質変更時要届出区域は4種類あります。詳細は別教室で紹介します。
CHECK POINT!
- 工場などの管理者やその土地の所有者は、土壌調査や措置が必要になるかもしれません。
- 土壌汚染対策法は随時改正が行われています。
解説者
ランドソリューション株式会社
泉 友紀