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No.38有機排水処理

リンを効率的に除去する生物脱リン法
KCRセンター小川晋平
【解説者】

栗田工業株式会社KCRセンター

小川晋平

栗田工業/KCRセンターの小川です。№38の水処理教室では、「リンを効率的に除去する生物脱リン法」についてお話いたします。リン除去技術の主流は凝集沈殿処理ですが、より低コストで汚泥処理の手間が少ない生物学的な脱リン技術が開発されています。活性汚泥中の細菌の働きを利用して、排水中からリン酸を除去するしくみについて解説します。

KCRセンター小川晋平
【解説者】
  • 栗田工業株式会社
  • KCRセンター
  • 小川晋平

解説

湖沼や沿岸海域の富栄養化を防止するため、環境省は一律排水基準でリン含有量を16mg/L以下と定めています。リン除去技術の主流は、「リンを含んだ排水の処理法(1)‐凝集沈殿法(水処理教室№33)」で紹介した凝集沈殿処理などの化学的処理ですが、処理の過程で発生する汚泥の処分やランニングコストが多大であることから、生物学的な脱リンの研究が行われ、窒素とリンを同時に除去する方法が開発されています。生物脱リン法は、活性汚泥中のポリリン酸蓄積能力をもつ細菌の働きを利用して、汚泥中のリン含有量を高めることで、排水中からリンを除去するものです。ポリリン酸蓄積細菌は、嫌気状態で酢酸や酪酸などの有機物を取り込み、体内貯蔵物質の蓄積を行う過程でリン酸をポリリン酸として放出し、好気状態では放出した以上のリン酸をポリリン酸として摂取します。このように一旦放出した以上のリン酸を摂取するため、菌体内のリン含有量は高まり、結果として排水中のリンは除去されます。

生物脱リン法のしくみ

リンと窒素を同時に除去

これを利用した処理設備は、生物脱窒法と類似していて、リンを放出させる嫌気反応槽とリンを摂取する好気反応槽の組み合わせとなります。そのためリン放出槽の後に脱窒槽を設け、リン摂取槽でリン摂取と硝化反応を行わせることで、リンと窒素の同時除去も可能となります。このように生物脱リン法は優れた特徴をもっていますが、脱リンを行うポリリン酸蓄積細菌の生育条件や機構解明が不十分であるため、排水の組成が安定している公共地下水道やし尿処理、家畜排泄排水などでは効果が得られていますが、排水組成や濃度が多様な工場排水などでは、適用されにくいのが実状です。

リン除去方式の比較

除去方式 原理 特徴
凝集沈殿法 原水や処理水に鉄塩、アルミニウム塩などの凝集剤を添加し、リン化合物として不溶化させ、沈殿分離する 除去率高く安定・別途設備必要・汚泥処理・コスト高い
硝石脱リン法 リン酸とカルシウム、および水酸化イオンの反応で生成するハイドロキシアパタイト(Ca5(OH)(PO4)3)の晶析反応を利用する 前処理必要・別途設備必要・経済的・リン肥料化
生物・化学的
同時処理法
曝気槽に凝集剤を添加し、曝気槽内でリン化合物として汚泥に含有させ沈殿槽で沈殿分離する 既存設備転用・安定処理・汚泥処理
生物脱リン法
嫌気・好気
リンを嫌気で放出、好気で摂取するポリリン酸蓄積細菌の働きを利用し、高濃度のリンを汚泥に含有させて除去する 既存設備転用・経済的・無薬注
フォストリップ法 生物脱リン(嫌気・好気法)と科学的除去の組み合わせ。嫌気でリンを放出した後、凝集沈殿処理を行う。 別途設備必要・安定処理・経済的

 

用語解説

ポリリン酸

リン酸が脱水縮合され重合塩を形成したもの。重合リン酸または、縮合リン酸と呼ばれ、多種の重合塩がある。

CHECK
POINT!

  • 微生物を利用して水中のリンを処理するのが生物脱リン法です。
  • 生物脱リン法は、リンを放出する槽と摂取する槽を連結して行います。

出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)

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