酸化・還元反応の基本的な意味
一般事項「酸化・還元反応の基本的な意味」についてお話いたします。水処理では、さまざまな物質を除去するために酸化剤や還元剤を投入して酸化・還元反応を起こします。たとえば、C(炭素)とO2でCO2(二酸化炭素)ができるなどの反応が代表例です。ここでは、その酸化・還元反応について解説いたします。
解説
水処理において、クロムやシアンなどを除去するために、酸化・還元反応が使われます。この酸化・還元反応をここで簡単に紹介します。一般的に酸化とは、酸素によって起こる物質の反応のことをいいます。たとえば、C(炭素)とO2(酸素)とが反応してCO2(二酸化炭素)を生じる反応などがそれに相当します。また、有機物が燃焼するとCO2とH2O(水)が生じますが、この反応も酸化反応です。好気性微生物が働いて有機物をCO2とH2Oに分解する場合も、やはり酸化といいます。このように酸化は自然界において、有機化学的に限らず、無機化学的にも、いろいろな形で発生しています。
酸素あるいは電子の受け渡しが酸化・還元反応
酸化反応は、一般的に可逆的であることが多く、酸化と逆の反応を還元といい、両者を一体にして酸化・還元反応といいます。酸化・還元反応が進行している場合、一方には必ず酸化される物質(被酸化物)があり、片方には還元される物質が存在します。O2は酸化剤の代表的なものです。ただし、酸素以外にも酸化剤はあり、また酸化剤がなくても酸化・還元反応は進行します。酸化・還元を大別すると以下の2種に分けることができます。
(1)狭義の酸化・還元とは、O2、Cl2、Br2などの酸化剤が一方にあって、他方にH2や金属などの還元性物質があって起こる反応(塩素消毒や過マンガン酸カリウムによる酸化などによる酸化反応)をいいます。
(2)広義の酸化・還元とは、ある物質が所有している電子を失うこと(酸化)と、他の物質がその電子を受け取ること(還元)をいいます。なお、酸化・還元反応の様子は、pH計やORP計によって監視されます。これらは測定する対象が異なり、前者は水中の水素イオン濃度を測定しますが、後者は酸化・還元に関係するすべてのイオンが対象となります。
用語解説
可逆的
化学反応が一方的でなく逆方向の反応もある状態。たとえば酸化されたものが還元され、もとの物質に戻ることもできる。
CHECK POINT!
- 酸化とは、酸素によって起こる物質の反応をいいます。
- 電子の受け(還元)、渡し(酸化)も酸化・還元反応といいます。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
池上徹