水処理技術のキーワード「懸濁物質(SS)」
一般事項「懸濁物質」についてお話いたします。水中に浮遊・分散する粒の大きさが1μm(0.001mm)~2mmの物質を懸濁物質(SS)、または浮遊物質といいます。懸濁物質は水1リットルあたりに含まれる重量(mg/L)で表します。今回はその測定方法などについて解説いたします。
解説
懸濁物質の測定方法はろ過法と遠心分離法があります。ろ過法はガラス繊維ろ紙(孔径1μm)で試料水をろ過し、そのろ紙を105~110℃で約2時間乾燥させたのち放冷して重さをはかり、その濃度を求めます。一方、遠心法はろ過が困難な試料水に用いられ、遠心分離器で分離した固形物をるつぼに移し、105~110℃で約2時間乾燥させたのち放冷してから、るつぼの重量を引くことで測定し、懸濁物質濃度を求めます。
濁度など、にごりの程度を表すその他の指標
水のにごりの程度を表す指標としては懸濁物質のほかに濁度や透視度、透明度があります。濁度とは、水のにごりの程度を表す指標で、水1リットル中にホルマジン1mgを含むときのにごりに相当するものを1度として表します。ただし、水中の浮遊物質の性状、たとえば色や粒径によって濁度とSSは必ずしも一致しません。また透視度とは、水の清濁度を示す指標として用いられます。高さ約32cmのシリンダーの底部においた標識板の二重十字を識別できる水量の高さ(cm)を透視度として表したものです。さらに、透明度は水の清澄さを表すための指標で、直径30cmの白色円板を沈めていき、見えなくなった深さをメートルで表します。
用語解説
分散
水の中に物質が均一に散在したり、溶存している状態
CHECK POINT!
- 懸濁物質(SS)とは、水中に浮遊・懸濁する粒径2mm以下の物質のことです。
- 水のにごりを表す指標には、濁度や透視度、透明度などもあります。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
小川晋平