水処理技術のキーワード「COD」
一般事項「化学的酸素要求量」についてお話いたします。水中の有機物などを酸化剤で分解する時に消費される酸素量を表した数値が化学的酸素要求量(COD)です。主に湖沼や海域の汚濁状況の確認や、排水中の水質検査などに使われています。その測定方法やBODとの違いなどについて解説いたします。
解説
KCR水処理教室№63で解説したBODは、好気性微生物が水中の汚染物質である有機物を酸化・分解するときに消費する酸素(溶存酸素)の量を表すものでした。それに対して、化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand:COD)は、酸化剤を使って有機物などを酸化・分解するときに消費される酸素量を表しています(単位はBODと同じくmg/L)。CODは有機物などによる、湖沼や海域、排水などの汚濁を測る代表的な指標の一つです。CODを測る酸化剤として、過マンガン酸カリウムと重クロム酸カリウムの二つがあり、それぞれCODMn、CODCrと表して区別します。現在の日本では、排水規制の値として主にCODMnが使われています。
測定法による特徴
CODとBODとでは、それぞれ測定法によって違いがあります。CODの測定には酸化剤を用いて化学反応(要加熱)させるため、BODのように検査期間が5日間も必要なく、短時間で十分に測定できます。また、BODの値に影響を与える物質と、CODの値に影響を与える物質とでは違いがあります。たとえば微生物の活性を低下させる物質は、BODでは測定が難しいのですが、CODでは測定できる場合があります。逆に、酢酸のように、BODでは測定できても、CODでは検出できない物質もあります。
用語解説
酸化剤
他の物質を酸化させる物質。代表的な薬品では水道の殺菌剤である次亜塩素酸ソーダがある。酸素も酸化作用があり酸化剤の一種である。
CHECK POINT!
- 過マンガン酸カリウムもしくは重クロム酸カリウムが有機物などを分解するときに消費される酸素量を表したのが化学的酸素要求量(COD)です。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
若田政己