幅広い分野で使われるMF膜
用水・純水 前処理・ろ過 純水・超純水「MF膜」についてお話いたします。MF膜は家庭用浄水器に使われています。また、災害時に飲料水を確保する緊急用ろ過器や工業用水の前処理ろ過のほか、超純水製造、医療用水製造の最終ろ過としても採用されています。このように幅広い分野で使われているMF膜のしくみと用途について解説いたします。
解説
さまざまな膜ろ過のうちMF膜は、ろ過装置に直接水を通してろ過するスクリーン方式として使用されています。この場合、ろ過を続けていくと膜面に濁質粒子がたまっていき、膜の給水側と処理水側の間で圧力損失が上昇します。この圧力損失がある基準に達すると、新しい膜と交換するか、あるいは処理水側から逆洗を行い、堆積した濁質粒子を系外へ排出する必要があります。MF膜は、その孔径範囲が0.1~10μmと比較的広く、また形状も糸巻き繊維のものや平膜加工のもの、あるいは管状のものや中空糸状のものなど多種多様で、用途によってその特徴を生かした使用がなされています。
家庭用浄水器にも使われている
MF膜の利用例としては、工業用水の前処理ろ過、超純水製造や、医薬用水製造の最終ろ過などに加えて、家庭の水道や蛇口につけて水道管で発生したサビなどを取り除く家庭用浄水装置や、地震や水害などの災害時に使う緊急用ろ過器の中にも使われています。また、逆浸透膜脱塩装置(RO装置)は、濁質が入り込むとすぐに目詰まりを起こしてしまいます。そこでRO装置の目詰まりを防ぐための保安フィルターとしてカートリッジ型のMF膜が必ず設置されるなど、MF膜はいろいろな分野で広範囲に活躍しています。
用語解説
圧力損失
配管内で流体が、摩擦などで失うエネルギーのこと。
CHECK POINT!
- MF膜は、家庭用浄水装置や災害時の緊急用ろ過器にも使われています。
- 工業用水の前処理や超純水製造の最終ろ過としても使われます。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
坂倉徹