含有物質で変わる排水の回収方法
排水 排水その他「含有物質で変わる排水の回収方法」についてお話いたします。排水の回収方法は含有物質によって変わります。たとえば無機イオンが多く含まれている場合、利用される技術はRO膜[逆浸透膜]回収方式とイオン交換樹脂回収方式が主体となります。この2つの処理方法について解説いたします。
解説
排水の回収では、その中に何が含まれているかによってその方式が変わってきます。たとえば無機イオンが主体の場合、利用される技術は活性炭とRO膜[逆浸透膜]を組み合わせた回収方式と、活性炭とイオン交換樹脂を用いた回収方式が主体となります。このうちRO膜[逆浸透膜]回収方式を利用するのは、排水中の無機イオン濃度が電気伝導率で500μS/cm以下の場合です。組み合わせて使用する活性炭は、共存する過酸化水素の分解や界面活性剤など有機物の吸着除去を行い、RO処理の保護(膜の劣化と汚染の防止)と有機物濃度の低減を行います。またイオン交換樹脂回収方式はRO膜[逆浸透膜]処理では膜の劣化が予想される場合や、やや塩類濃度の高い電気伝導率1000μS/cm以下が対象となります。
有機物を含んでいる場合の処理方法
ところで排水中に有機物を含有する場合、とくにイソプロピルアルコールやメタノールなどの低分子有機物の除去には、こうした方法以外に生物処理が有効となります。微生物は有機物を栄養として取り込み、増殖します。これが懸濁物質として処理水中に流出してしまいますので、その生物を取り除くために膜ろ過装置を設置します。この生物処理によって、1mg/LのTOC(全有機炭素)が1/10の0.1mg/Lまで分解除去され、この後に残留した有機物と無機イオンをRO膜[逆浸透膜]で取り除きます。こうした排水の回収は近年、液晶パネル製造工場で盛んに行われています。ここで使用する純水と超純水の量は、半導体製造工場の10倍以上にもなります。ただ、要求される水質は必ずしも超高純度というわけではなく、半導体製造工場であれば処理後に放流する排水も、液晶パネル製造工場では回収・再利用されています。
用語解説
脱塩
水の中に溶解している無機物質(塩類)を除去すること。
CHECK POINT!
- 排水の回収は、含まれる物質によって方式が変わります。
- 排水の回収は、液晶パネル製造工場で盛んに行われています。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
池上徹