一度利用した超純水の回収・再利用方法
用水・純水 純水・超純水 排水 排水その他「超純水の回収・再利用」についてお話いたします。一度使用した超純水を回収・再利用することは、節水対策として重要です。特に工場用水や水道水の取水制限、地下水の汲み上げ量制限によって使用水量を増やせない場合は有効です。その超純水の回収・再利用法を解説いたします。
解説
半導体工場のさまざまな生産工程で使われた超純水の一部は、回収されて再び超純水製造に利用されます。ですから「超純水製造装置のしくみ(水処理教室№15)」で紹介したように、超純水製造システムは大別して三つのシステムの組み合わせでしたが、この排水回収まで入れると四つのシステムの組み合わせといえます。一度使用した超純水を回収・再利用することは、使用水量の低減策として重要です。たとえば工場用水や水道水の取水量制限、地下水の汲み上げ量制限によって使用水量を増やせない場合には、この方法が有効となります。また使用済みの排水でも、原水から製造するよりは手間がかからないため、工場内のコスト削減にも寄与します。
排水をどこに戻すかがポイント
超純水の排水回収方法には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
(1)排水をその水質によって、それぞれ分別回収する
(2)有機排水・無機排水をそれぞれ処理した後に、それらが混ざった総合排水として回収する
回収の難易度からいえば、(1)の工程排水ごとの回収処理が、処理対象も限定されているうえに、汚染物濃度も薄いことが多いために容易です。これに対して、(2)の総合排水を回収する場合は水量・水質変動は少ないのですが、塩類濃度が高く、処理対象水質項目も多種にわたるケースが多くなり、簡単には処理できません。ただし前者は、工場の新設時に設置すれば容易ですが、そうでない場合は後者を選択せざるを得なくなります。いずれの場合もその回収対象の水質と回収処理された水の水質によって、一次純水システムのどこに合流させるかが大きなポイントとなってきます。
用語解説
塩類濃度
水の中に溶解している無機物質(塩類)の濃度のこと。
CHECK POINT!
- 超純水では、生菌の混入も問題となります。
- システム内では、目的に応じていろいろな殺菌が行われます。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
佐藤禎一