ユースポイントへの配管の工夫
用水・純水 純水・超純水「ユースポイントへの配管の工夫」についてお話いたします。超純水供給配管は、超純水をサブシステムからユースポイントまで送水するために重要な役割を持っています。特に超純水の水質を保つために様々な対策が施されています。その配管の工夫について詳しく解説いたします。
解説
超純水をサブシステムからユースポイントまで送水する超純水供給配管は、超純水の水質を保つことと、ユースポイントで必要とする水量を送水できることの二つが必要ですが、とりわけ前者を実現するために、様々な対策が施されます。
超純水の水質低下の要因と対策
超純水供給配管で水質の純度が低下する要因としては、次のようなことが考えられます。
(1)配管材質からの超純水への不純物溶出
(2)配管網での滞留による水質低下
(3)配管施工時の汚れ持込みによる水質低下
このうち(1)を防止するために、サブシステム以降で用いられる配管は、溶出物質がないかを厳しく検査し、合格したものが採用されています。最近では、施工性、コストなどから、クリーンPVC(塩化ビニール管)が多くなっています。クリーンPVCは、通常の水道水の送水で用いられるものとはイオンやTOC(全有機炭素)の溶出特性、管内面の平滑性が異なり、微生物や微粒子の付着、洗浄性の面で優れています。また、配管の接合方式も(1)に影響してきます。そのため接合は接着剤を用いずに、接合する相方の配管端部に熱を加えて溶かして接合する溶着方式が採用されています。
配管網を工夫して流量を確保
(2)の防止策としては、配管網での滞留防止と流量確保のため、リバースリターン方式が用いられます。この方式の特徴は、送りの主配管と戻りの主配管の間に圧力差を設け、各ユースポイントのどの枝配管でも一定の流量が確保できるようになっています。
(3)の対策としては、配管の接合工事などの作業をクリーンルーム内で行うことで防止しています。このようにせっかく製造した超純水の水質を落とさずに使用できるような工夫が凝らされています。
用語解説
クリーンPVC
超純水の送水用に開発されたPVC(塩化ビニール)製品で、材料からの不純物の溶出が少なく、パイプ内面が平坦でバクテリアが発生しにくいなどの特徴がある。
CHECK POINT!
- 超純水の配管は、水質を保つことが重要です。
- リバースリターンは、ユースポイントのどこでも一定の流量が確保できる方式です。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
池上徹