活性汚泥法とは
排水 生物処理「好気性微生物の働きを利用した活性汚泥法」についてお話いたします。好気性微生物に水中の有機物を処理させることを活性汚泥法といいます。この時、微生物には酸素が必要なため、装置には空気(酸素)を供給する必要があります。そのしくみについて分かりやすく解説いたします。
解説
好気性微生物に水中の有機物を処理させることを活性汚泥法といいます。このとき微生物には酸素が必要なため、装置は空気(酸素)を供給する曝気槽と沈殿槽から構成されています。曝気槽の槽底部には散気管を設置し、散気管から空気を微細な気泡として槽内に噴出させることで、曝気槽内液に酸素を溶解させます。曝気槽には、好気性微生物を多量に含んだ数十μm~数mmの塊が2000~5000mg/Lの濃度で浮遊しています。この塊を活性汚泥のフロックと呼びます。ここに含まれる微生物は、ズーグレア、シュードモナス、バチルスなど、多種類の細菌が主体であり、ほかにはツリガネ虫、ワムシなどの原生動物も含まれています。曝気槽と連結している沈殿槽は、曝気槽で有機物を分解した処理水と活性汚泥のフロックを自然沈降によって分離させる役割をもっています。ここで汚泥混合液を長時間静置させ、上澄み液を処理水として放流し、沈降したフロックは、沈殿槽底部に設置した沈殿物かき寄せレーキ(板)で集め、再び曝気槽へ返送します。
活性汚泥処理は環境整備が重要
活性汚泥処理を正常に行うには、曝気槽に流入する有機物の量(負荷量)、槽内の水温(20~37℃が適温)、汚泥混合液のpH(7付近の中性域が最適)、溶存酸素(DO)濃度、微生物が増殖するのに必須な栄養源(窒素やリン)などの環境条件を整えることが必要となります。とくに空気(酸素)の供給が重要となることは言うまでもなく、必要な酸素量は、排水の有機物を分解する酸素量と活性汚泥中の微生物が活性を維持するのに必要な酸素量の合計となります。そのため、たとえば工場の休日が続き曝気槽に流入する排水がなくても、活性汚泥の活性維持用の酸素量を供給する必要があります。
用語解説
原生動物
動物界の一門。体は一個の細胞からなり、分裂・出芽などによって増殖します。鞭虫類(ミドリムシ)、肉質類(アメーバ)、胞子虫類(マラリア病原虫)、繊毛虫類(ゾウリムシ)に分けられる。
CHECK POINT!
- 好気性微生物を利用して有機物を処理することを活性汚泥法と呼びます。
- 活性汚泥法では、曝気槽と沈殿槽を連結して利用します。
出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)
解説者
栗田工業株式会社
池上徹