No.014

純水よりはるかに純度が高い超純水

用水・純水 純水・超純水

「純水よりはるかに純度が高い超純水」についてお話いたします。純水は溶液中の電解質を対象に計測しますが、超純水は電解質はもちろん水中に溶解している有機物、生菌、微粒子などが一定基準以下であることが求められます。ここでは特に半導体で必要な超純水について解説いたします。


KCRセンター坂倉徹

解説者

栗田工業株式会社

坂倉徹

解説

純水に対して超純水という言葉があります。純水が、基本的に水溶液中の電解質を対象とし、電気伝導率とシリカの測定値で定義するのに対して、超純水は、電解質はもちろんのこと、水中に溶解している有機物、生菌、微粒子なども一定基準以下であることが求められます。この超純水という言葉は、半導体の発展に伴って出てきました。半導体産業で要求される超純水は、水中に溶解しているイオン類、有機物、生菌、微粒子などを含まない水100%の理論純水です。しかし、理論純水を入手することは不可能です。なぜなら理論純水を製造すること自体が困難であるだけでなく、理論純水になれば他の物質を溶解する力が高くなるからです。仮に理論純水が製造できたとしても、装置の付着物や材料からの汚染も無視できず、また製造水を容器に採水すれば容器からの汚染や溶出が生ずるため、純度が維持できないからです。したがって、“超純水”は、現実に製造できる最も理論純水に近いものをいいます。

半導体製造には限りなく理論純水に近い水が求められる

理論上の純水の抵抗率は25℃で18.24MΩ・cm、電気伝導率は0.05482μS/cmです。この伝導率の値は、水自体の解離による水素イオンおよび水酸化物イオン以外の電解質がない状態です。超純水に求められるのは、抵抗率では少なくともこうした理論純水に限りなく近いレベルです。実際に最近の高集積度の半導体製造工程で要求される水質の抵抗率は18MΩ・cm以上と高レベルです。たとえばこの水にFe2+イオンが1μg/L溶解しただけで、その抵抗率は17MΩ・cmに低下してしまいますから、溶解物質がμg/L(ppb)の濃度レベルでも問題となるほど超純水への要求は厳しくなっています。

品質項目/
DRAM集積度
256kB 1MB 4MB
16MB
16MB
64MB
64MB
256MB
256MB
1GB
比抵抗
(MΩ・cm)
17~17.5 17.5~18 >18 >18.1 >18.2 >18.2
微粒子 (個/L) 0.1μm 50~500 10~20 <5      
0.05μm     <10 <5 <1  
0.03μm         <10 <5
0.02μm           (<10)
生菌(個/L) 50~200 10~20 <10 <1 <0.5 <0.1
TOC(ppb) 50~200 30~50 <10 <5 <2 <1
溶存酸素(ppb) 50~200 30~50 <50 <10 <5 <1
シリカ(ppb) 10 5 <1 <1 <0.5 <0.1
重金属イオン(ppb) ~1000 100~500 <100 <10~50 <5 <1

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