No.006

純水設備の前処理

用水・純水 前処理・ろ過

「純水設備の前処理」についてお話いたします。工業用水は浄水場で処理していないため濁質を含みます。また、井戸水は鉄やマンガンを含んでいる場合、汲み上げた後に酸化して濁質となってしまいます。その濁質を取り除くための純水設備の前処理について分かりやすく解説いたします。


KCRセンター坂倉徹

解説者

栗田工業株式会社

坂倉徹

解説

現在、工場で製造活動などに使われている工業用水は、おもに工業用水道と河川水・地下水(井戸水)によって供給されています。工業用水道の水は、上水道のように浄水場で処理されていないために濁質を含みます。河川水も同様です。また井戸水は、鉄やマンガンを含んでいると汲み上げた後に水が空気と触れて酸化し、Fe(OH)3やMn(OH)3などの水酸化物が析出して、濁質となってしまいます。そのため、そのまま工業用水として使うことができません。

小さな粒子は凝集反応でフロック化する

そこで、工業用の純水製造の前にこうした濁質を取り除くために「前処理」をします。この前処理は、飲み水としての水道水をつくる浄水場の処理と同様のいくつかのシステムを組み合わせています。その場合、砂ろ過器は5µm以下の微細粒子は前処理として凝集ろ過や加圧浮上分離を行って取り除きます。薬品処理を行う凝集反応槽では、5µm以下の微粒子や1µm以下のコロイド物質を水酸化アルミニウムで凝集させます。水中に存在する粒子はマイナスに、水酸化アルミニウムはプラスに荷電しているため、両者が混合されると荷電中和が起き凝集フロックと呼ばれる塊が形成されるのです。凝集反応後、沈殿・浮上・ろ過などの分離操作が行われます。また加圧浮上装置では、水に圧力を加えて空気を溶解させた後、大気圧に開放・減圧することで大量の微細気泡粒子やコロイド物質を付着させて、懸濁物質を浮上・分離させ、分離水はろ過処理が行われます。どのような前処理を採用するかは、原水の懸濁物質の濃度により決められます。

ろ過器と凝集反応槽、加圧浮上槽のしくみ

用語解説

コロイド物質

非常に微細な固体、または巨大分子であり、光学顕微鏡では見えず、通常のろ紙は通過する微細な物質。

CHECK POINT!

  • 濁質を取り除くために純水製造の前には前処理をします。
  • 前処理の方法は、原水の懸濁物質の濃度によって決められています。

出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)

水処理教室バックナンバー

同じカテゴリの記事をご覧いただけます。

  • No.055 用水・純水 前処理・ろ過

    ウイルスも取り除くUF膜

    「UF膜」についてお話いたします。UF膜は、MF膜よりも微細な孔を持ち、分子量5000~30万程度の高分子成分(たんぱく質やポリエチレングリコールなど)や、粒子径1~100nmのウイルス、エマルジョンなど小さな物質を除去することができます。その特徴と用途について解説いたします。

  • No.054 用水・純水 前処理・ろ過 純水・超純水

    幅広い分野で使われるMF膜

    「MF膜」についてお話いたします。MF膜は家庭用浄水器に使われています。また、災害時に飲料水を確保する緊急用ろ過器や工業用水の前処理ろ過のほか、超純水製造、医療用水製造の最終ろ過としても採用されています。このように幅広い分野で使われているMF膜のしくみと用途について解説いたします。

  • No.027 用水・純水 純水・超純水 排水 排水その他

    一度利用した超純水の回収・再利用方法

    「超純水の回収・再利用」についてお話いたします。一度使用した超純水を回収・再利用することは、節水対策として重要です。特に工場用水や水道水の取水制限、地下水の汲み上げ量制限によって使用水量を増やせない場合は有効です。その超純水の回収・再利用法を解説いたします。

  • No.026 用水・純水 純水・超純水

    超純水をつくるための殺菌処理

    栗「超純水をつくるための殺菌処理」についてお話いたします。菌は水中や大気中のあらゆるところに存在し、一度殺菌しても栄養となる有機物があると増殖します。そのため超純水製造システム内では、各段階で目的に応じた殺菌処理が徹底されています。その方法について解説いたします。

  • No.025 用水・純水 純水・超純水

    超純水をつくるための有機物処理

    「超純水をつくるための有機物処理」についてお話いたします。超純水中には、微粒子や生菌、TOC(全有機炭素)、シリカなどが一定基準以下であることが求められます。特にTOCについては可能な限りゼロに近い状態まで除去するシステムが開発されています。そのTOCの処理方法について解説します。

  • No.024 用水・純水 純水・超純水

    ユースポイントへの配管の工夫

    「ユースポイントへの配管の工夫」についてお話いたします。超純水供給配管は、超純水をサブシステムからユースポイントまで送水するために重要な役割を持っています。特に超純水の水質を保つために様々な対策が施されています。その配管の工夫について詳しく解説いたします。

ログイン・ユーザー登録

基礎学習動画の閲覧や製品カタログのダウンロードを
ご希望の方は、ログインまたはユーザー登録を行ってください。

WEBからのお問い合わせ

水処理に関するご相談やKCRセンターに関する
ご質問など、こちらからお気軽にお寄せください。