No.001

自然水の循環

一般事項

№1の水処理教室では、「自然水の循環」についてお話いたします。現在、日本の水道水量は、平成15年で155億m3(東京ドーム12,500杯分)という膨大な量にのぼりますが、もし仮に水を多量に使ったとしても、なくなることはありません。その大自然のメカニズムを分かりやすく解説いたします。


KCRセンター坂倉徹

解説者

栗田工業株式会社

坂倉徹

解説

水は、わたしたちの生活や産業に欠くことのできない重要な資源です。

日本では、安く、絶えることなく水が供給されています。水道管からきれいな水が出てくることを、わたしたちは当然と思っていますが、地球上の他の地域、たとえば乾燥地帯などと比べてみるととても恵まれています。渓流や、井戸水を使う場合もありますが、日本人の約96%は飲料水をはじめ風呂や洗濯などの水を水道や簡易水道に頼っています。日本の水道水量は、平成15年度で155億m3(東京ドーム12,500杯分)という膨大な量にのぼります。ただし、どんなに多量に使ったとしても水がなくなることはありません。なぜなら、人間が使った水は排出されて自然界に戻り、循環するからです。地上に降った雨が河川に集まって海に流れ出し、太陽熱で蒸発して雲となり、再び降水となる水の循環系に取り込まれるからです。水が循環する間に一部の水系は地下水となり、他の水系は短時間で地表に湧き出し、さらにある水系は長い年月を経て地上に現れます。つまり、水は形を変えて地球上のどこかにあり続けるのです。

自然水の循環

どうしても必要な水の再利用技術

日本の年間降水量は、1,800mmと多いほうです。しかし、降水の時期が集中しているうえに、国土が狭くて河川が短いため、空から供給される水の1/3はあっという間に海に流れ出し、残りの1/3は蒸発してしまい、有効に使うことができるのは全降水量の1/3といわれています。

一見、水資源に恵まれているように思える日本の水事情は、実はそれほど潤沢とはいえません。ですから、水道水をムダなく使うことはいうまでもなく、一度使った水でも安全な状態にして再利用する必要があります。そこで今後紹介するような高度な水処理技術が求められているのです。

用語解説

簡易水道

水道の供給の中で、給水人口が101人以上、5,000人以下の水道事業をいう。

CHECK POINT!

  • 産業や家庭で使用する水は自然界から取水し、利用後はきれいに処理して自然に還すことで、自然と人間の調和が保たれています。
  • 日本の年間降水量は、1,800mmと多いほうですが、有効に使うことができるのは全降水量の1/3しかありません。

出典:よくわかる水処理技術(株式会社日本実業出版社発行)

水処理教室バックナンバー

同じカテゴリの記事をご覧いただけます。

  • No.067 一般事項

    水処理で使用される微量な単位

    「水処理で使用される微量の単位」についてお話いたします。水処理では、ごく微量の化学物質を処理対象とするため、それを表す単位が用いられています。一般的に知られている単位のppmは、part per millionの略で100万分の1を表しています。その他、水処理でよく使われる単位について解説いたします。

  • No.066 一般事項

    酸化・還元反応の基本的な意味

    「酸化・還元反応の基本的な意味」についてお話いたします。水処理では、さまざまな物質を除去するために酸化剤や還元剤を投入して酸化・還元反応を起こします。たとえば、C(炭素)とO2でCO2(二酸化炭素)ができるなどの反応が代表例です。ここでは、その酸化・還元反応について解説いたします。

  • No.065 一般事項

    水処理技術のキーワード「懸濁物質(SS)」

    「懸濁物質」についてお話いたします。水中に浮遊・分散する粒の大きさが1μm(0.001mm)~2mmの物質を懸濁物質(SS)、または浮遊物質といいます。懸濁物質は水1リットルあたりに含まれる重量(mg/L)で表します。今回はその測定方法などについて解説いたします。

  • No.064 一般事項

    水処理技術のキーワード「COD」

    「化学的酸素要求量」についてお話いたします。水中の有機物などを酸化剤で分解する時に消費される酸素量を表した数値が化学的酸素要求量(COD)です。主に湖沼や海域の汚濁状況の確認や、排水中の水質検査などに使われています。その測定方法やBODとの違いなどについて解説いたします。

  • No.063 一般事項

    水処理技術のキーワード「BOD」

    「生物化学的酸素要求量」について説明いたします。水中の有機物質を好気性微生物が分解する時に、水1リットルあたり何mgの酸素が必要なのかを表した数値が生物化学的酸素要求量(BOD)です。主に河川の水質を表す指標として古くから使われてきました。その測定方法などについて解説いたします。

  • No.062 一般事項

    水処理技術のキーワード「溶存酸素」

    「溶存酸素」についてお話いたします。溶存酸素はDO(Dissolved Oxygen)とも呼ばれる水中の酸素濃度を表す指標です。今回はその概要と測定方法について解説いたします。

ログイン・ユーザー登録

基礎学習動画の閲覧や製品カタログのダウンロードを
ご希望の方は、ログインまたはユーザー登録を行ってください。

WEBからのお問い合わせ

水処理に関するご相談やKCRセンターに関する
ご質問など、こちらからお気軽にお寄せください。