相談事例 No.56

復水(ドレン)回収で省エネと節水に貢献

ボイラ・スチーム

ご相談内容

復水の鉄濃度が高くて回収を停止していますが、再開できないでしょうか?

高温の復水を回収して燃料費削減、CO2削減、上下水費用を削減したいと考えています。しかし、復水配管が鉄製で腐食があり、さびなどの生成物がボイラに持ち込まれて、スケール付着することが怖く回収設備の運転再開が出来ていません。良い解決方法はないでしょうか?

 

ご相談時の状況

・鉄などを多く含んだ復水で回収が難しい。

・復水水質はpHが低く、DOが高い場合が多い。

復水回収前

業種 電気機器
装置名 小型貫流ボイラ
原水種 軟水

KCRセンターからの解決策

蒸気・復水配管の腐食を抑えることで、復水の回収を再開できるようになります

このたびは、KCRセンターにご相談いただきありがとうございます。

復水の回収を再開するためには、まずは蒸気・復水配管の腐食を抑える処理(防食)が必要です。

蒸気・復水配管の防食は、給水中の溶存酸素(DO)の低減と復水のpHの上昇がポイントになります。給水中のDOは、脱気器や脱酸素効果の高いボイラ薬品の適用によって低減できます。復水のpHは、復水処理剤によって中和することができます。さらに配管表面に撥水性の皮膜を形成し防食効果を強化する方法もあります。

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復水(ドレン)回収の提供価値

 

復水回収提案

復水の蒸気質を改善することで、復水を安定的に回収します。回収した復水をボイラ給水として利用することで、ボイラの安定運転にもつながります。

復水回収後

図1 復水回収後のボイラ周りのフロー

蒸気復水系の水処理効果比較イメージ

蒸気復水系の水処理を行うことで蒸気・復水配管の腐食を大幅に低減できます。

無処理(脱気、復水処理なし)と比較し、脱酸素した場合、脱酸素+復水(中和)処理した場合、脱酸素+復水(中和)処理+皮膜形成処理した場合に徐々に防食効果が向上します。

図1 蒸気復水系の水処理効果比較

図2 蒸気復水系の水処理効果比較

ご相談いただいた結果

復水の回収量を上げることができ、熱と水の回収ができました

脱酸素効果の高いボイラ薬品に変更し、さらに復水処理薬品で蒸気質の改善を行いました。徐々に復水中の鉄濃度が低下し、2か月後には0.3 mg/L以下*1 に下がりました。

また、一部の復水回収系統には、復水回収用の中継タンクと、復水送水用の自動制御盤の設備追加を実施し、復水の回収量を上げることができました。復水の熱と水の回収が可能になり、さらに給水水質が良くなったことでボイラのブロー水の量も絞ることに成功しました。

*1 : JIS B 8223:2021:多管式特殊循環ボイラ(小型貫流ボイラ)の給水の基準値

図3 燃料費の変化

図4 上下水使用費の変化

図5 CO2排出費の変化

図6 復水の鉄濃度の推移

(ご参考)

・燃料費削減

給水温度上昇40K×比熱4.186KJ/(kg・K)×ドレン回収量5m3/h÷ 発熱量40.7MJ/Nm3 ×燃料費100円/Nm3×運転時間3,600h/年÷ボイラ効率98%≒750万円/年

・上下水使用量削減

ドレン量5t/h × 3,600h/年 = 18,000 t/年

・節水によるメリット  

削減した上下水使用量18,000 t/年 ×上下水費用280円/t≒500万円/年

・CO2排出量削減

給水温度上昇40K×比熱4.186KJ/(kg・K)×ドレン回収量5m3/h÷ 発熱量40.7MJ/ Nm3×CO2発生係数2.31kgCO2/Nm3× 運転時間3,600h/年≒171t-CO2/年

・投資回収期間:(設備費+工事費)÷(燃料費+節水費-薬品費用)=(500+900)÷(750+500-100) ≒1.2年

お客様の声

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