相談事例 No.52
蒸気式タービンの水冷式復水器の熱伝達率向上による安定運転
【2019年省エネ大賞 製品・ビジネスモデル部門「資源エネルギー庁長官賞」受賞技術】
製造プロセス
ご相談内容
夏場の発電プラントの操業を安定化させたい
当社の発電プラントでは、蒸気式タービンの出口に水冷式の復水器が設置されており、蒸気を冷却し真空状態に近づけることで、タービンの出力を高く維持しています。しかし、夏場は酷暑の影響などで、冷却水温が高くなり、この機構がうまく機能せず、発電端熱効率*を維持するために様々な対策を駆使する必要が生じています。
*発電端熱効率 ηPは、「ボイラで使用した燃料の保有熱量」と「発電機出力」の比をパーセントで表したものです。
以下の式で表されます。(一般社団法人 日本機械学会 機械工学事典より)
発電端熱効率 [JSME Mechanical Engineering Dictionary] https://www.jsme.or.jp/jsme-medwiki/12:1010256
業種 | 発電プラント(蒸気式タービン) |
---|---|
設備 | 復水器(伝熱チューブ 材質:キュプロニッケル、一部チタン) |
熱源 | 蒸気 |
KCRセンターからの解決策
Kurita Dropwise Technology を適用されてみてはいかがでしょうか
このたびは、KCRセンターにご相談いただきありがとうございます。
このたびのご相談は、Kurita Dropwise Technology を適用し、復水器のU値(熱の伝わりやすさ)を向上させることで、復水器内での蒸気の冷却不足を解消し、現在の夏場のお悩みを解決できる可能性があります。ご検討されてはいかがでしょうか?
Kurita Dropwise Technology が熱伝達率を向上させます
図2 Kurita Dropwise Technology 適用前後の比較
復水器では、金属表面に発生する水膜が熱抵抗となり、熱伝達を阻害する要因となっていました。
Kurita Dropwise Technology は金属表面に撥水性を持たせ水膜化を抑制することで熱伝達率が向上します。熱が効率よく伝わることで、復水器の能力が向上し、発電プラントの安定運転へ貢献できます。しかも現在の設備を稼働させたまま本技術を適用でき、大きな設備投資も必要ありません。
Kurita Dropwise Technology は適用ノウハウを含めた薬品、装置、分析・解析の3つを基本パッケージとした提供となります。
図3 Kurita Dropwise Technology 適用先イメージ
Kurita Dropwise Technology を詳しく知りたい方は、こちらをクリック!
省エネ大賞受賞概要、リーフレット、動画は、こちらをクリック!
ご相談いただいた結果
復水器のU値(熱の伝わりやすさ)が12 %上昇し、夏場の各種対策を軽減できました
Kurita Dropwise Technology を適用することにより、復水器内の伝熱チューブのU値が12 %上昇し、それに伴い夏季の期間中の復水器内の真空度が0.2~0.4 kPa改善しました。
現在は、真空度の改善が「夏場の発電プラントの操業安定化にどれだけ寄与するのか」を定量的に評価できるよう検証を継続しています。
- 図4 U値(熱の伝わりやすさ)の変化
- 図5 真空度の変化
状況によっては、冷却水の汚れの改善が有効な場合もあります。クリタは様々なソリューションで最適な対策をご提案します。ぜひご相談ください。
省エネ大賞、関東地区発明奨励賞を受賞しました
「資源エネルギー庁長官賞」を受賞
「発明奨励賞」を受賞