相談事例 No.49
処理水質が安定し、トラブル対応費用(薬剤費)を88.6%削減
排水 生物処理ご相談内容
非定常時の排水流入時に処理水質が悪化します。効果的な対応策はないでしょうか?
当社は多品種の化学品を製造、販売しています。工場では、非定常時や特定プロセス稼働時は排水処理設備の流入負荷が不安定となり、処理水質が安定しない問題を抱えています。処理水質を安定させるために、後段の凝集加圧浮上で薬剤を添加しており、その対応費用も問題となっています。原因の特定が難しく、効果的な対応策を講じることができていません。手探りの状態で排水処理設備を運転する対応が続いており、手間と作業時間の増加が問題となっています。不安定になる原因を明らかにし、運転を安定化させる方法はないでしょうか?
業種 | 化学 |
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設備・装置 | 生物処理(活性汚泥法)、凝集加圧浮上 |
排水種 | 有機物 |
処理水量 | 約1,900㎥/h |
KCRセンターからの解決策
排水処理に関わる不安・悩みの解消をサポートします
このたびは、KCRセンターにご相談いただきありがとうございます。
問題解決の第一歩は、排水処理設備の処理能力を正しく把握することです。最適な運転方法は設備能力にもとづき決めていきます。また、工場の生産状況や季節によって排水は変化するため、都度運転方法を見直していくことが重要です。
クリタはお客様の排水処理設備の問題とその原因を特定し、「共有」「診断」「教育」三位一体で運転管理をサポートする「排水処理サポート」を提案します。
「排水処理サポート」商品紹介ページ:こちらをクリック!
排水処理サポートは、お客様の排水処理設備の処理能力の診断、不安定になる原因の特定により最適な運転方法をご提案します。また、工場の生産状況や季節変化にあわせた最適な運転の実現をサポートします。
1.排水処理設備の問題の原因を特定し、対応策を立てます
はじめに排水処理設備の現状の処理能力と最適な運転方法を確認した上で、問題の原因を特定し、対応策を決定します。
STEP1:定常時の運転方法の確認
・ 一見、安定しているように見える定常時の運転方法に問題がないか確認します。
・ 確認した結果および排水処理の理論に基づきベースとなる運転条件を修正、最適化します。
STEP2:悪影響を与えている排水の特定
・ 水質分析を行い、排水処理を不安定にしている排水を見つけ出します。
・ 分析やデータ解析を行い、その排水が悪影響を与えている原因を特定します。
STEP3:対応策の決定
・悪影響を与えている排水を処理できるように、運転条件や管理値を見直します。
・排水処理だけでなく、産廃処理との組み合わせも含めた最適な対応策を検討します。
2.排水や季節などの変化に応じて、随時運転方法を見直します
調査(STEP1~3)で立案した運転方法・対応に従い、排水処理設備の運転を行います。
しかし、工場の生産状況や季節等により排水処理設備の最適な運転方法は変化します。変化が起きた場合であっても、安定運転を達成するためには、問題が起きた際に早期対応することや、継続的に対応策や運転方法を見直すことが重要です。
排水処理サポートでは、以下の対応を実施することで、さまざまな変化にも対応し、安定運転を実現します。
・お客様専用webサイトを設けることで、運転データを集約し、お客様と運転データを共有する。
・共有した運転データをもとに、問題を早期検知し、重症化する前に対応策を立てる。
・運転データや定期分析結果、次月の稼働予定に応じて汚泥濃度、汚泥引抜量など重要な運転指標に対する管理値を見直しする。
ご相談いただいた結果
処理水質が安定し、トラブル対応費用(薬剤費)を88.6%削減できました!
1. 処理水質の安定
お客様の工場では、微生物にダメージを与える物質を含む排水が受入許容量を超え流入していたことが、問題の最大の原因でした。排水処理と産廃処分を組み合わせた対応策を実施し、排水処理サポートで適宜、運転方法を見直すことで、処理水質が安定しました。
2. 凝集剤コストの削減
処理水質の安定とともに、後段の凝集加圧浮上で使用していた薬剤費などのトラブル対応費用を削減できました。
3. 対応策にかかる労力の削減
これまで手探りだった対応策に理論が加わったことで、何が問題の原因かを特定した上で解決できるようになり、排水処理設備の運転における手間と作業時間を削減することができました。運転データをお客様と共有していたので早期に問題を検知し、すぐに対応策を提示・実施できたため、安心して運転管理ができるようになったとの声をいただきました。
また、お問い合わせをいただいた内容や対応した履歴が書面で残るため、いつでも見返して確認ができる点も評価をいただきました。
【お客様の声】
(ご参考)排水処理サポート 導入後の効果には、以下の値を用いています。
トラブル対応回数:22回/年→4回/年
トラブル対応費用(薬剤費):約510万円/年→約59万円/年
処理水COD:23.7mg/L→13.2mg/L
※対応策による産廃費増分は含みません。トラブル対応費用(薬剤費、人件費)>産廃費増分のため、対応策によってトラブル対応に関わる全体のコストは削減されています。